古山綜合法律事務所のブログ

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【離婚・第2回】離婚はどんなときにできるのか

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(受付用電話機。ご来所の際には受話器を取ってご用件をお話しください)

 

古山綜合法律事務所の弁護士古山隼也です。

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あっと言う間にGWも明けましたが、早速、初夏を思わせる気温の変化に身体もついていくのが大変です。皆さまもお身体には充分お気を付けください。

前回、離婚についてのご質問に答えたところ反響がありましたので、今回はその続きをご説明します。

 

前回では「基本的に、離婚の原因が違法行為と言えるほどでなければ、慰謝料は関係ない」とお話ししました。

しかし、場合によっては「離婚の原因が違法行為と言えるほどでなくても、離婚するには慰謝料を支払う必要がある場面」も出てきます。

それは、離婚できる方法が限られているからです。

 

そもそも、離婚はどんなときにできるのでしょうか。

結婚は本人たちが「結婚する」と合意しない限りできません。日本では国家権力を使おうがお金をいくら払おうが、本人の意思に反して強制的に結婚させることはできません。

なので、離婚も本人たちが話し合って「離婚する」と合意することが基本となります(協議離婚)。本人自身のことなので、理由が何であれ「結婚する」と合意すれば結婚できますし、「離婚する」と合意すれば離婚できるのです。

 

では、夫婦の一方が離婚を希望しているけれどもう一方が離婚したくない場合は、どうなるのでしょうか。

この場合、家庭裁判所で調停委員の仲介という助けをもらいながら話し合って離婚についてもう一度よく考え、それにより「離婚する」と合意できることも多いですが(調停離婚)、それでも合意できないときは強制的に離婚する方法を考えることになります。つまり、離婚判決をもらうのです(裁判離婚)。

結婚と違い、離婚は国家権力(判決)を使うことができます。もっとも、一方が嫌がっているにもかかわらず判決で無理やり離婚させるわけですから、離婚判決をもらうには以下のどれかに当てはまる必要があります(民法第770条1項)。

 

1 配偶者に不貞な行為があったとき

2 配偶者から悪意で遺棄されたとき

3 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

4 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

5 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

 

上のどれにも当てはまらない場合(違法行為と言えるものがない場合)、裁判所から離婚判決をもらうことはできません。

つまり、夫婦で協議や調停をしても「離婚する」と合意できず、上のどれにも当てはまらない場合、裁判しても離婚できないのです。

 

夫婦の一方がどれほど強く希望しても、強制的に離婚することができないときがある。それでも離婚したければ、なんとか配偶者を説得して「離婚する」と合意してもらうしか方法がなくなります。その説得の手段の一つとして、「離婚するには慰謝料を支払う必要がある場面」が出てくるのです。

つまり、このときの慰謝料とは、違法行為による損害に対する賠償金でなく、離婚に同意してもらうためのいわば手切れ金と言えるでしょう。

 

なので、本人に違法行為がなくても、離婚の際に慰謝料(手切れ金)を支払うことは珍しくありません。逆に、いくら慰謝料(手切れ金)を積もうが、相手が離婚に同意してくれなければ離婚できないのです。